「……どうしたらいいですかねぇ?」
そんな景色に聞いてみても、当然ながら答えは返ってこなかった。
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「――「じゃあ、これからも一緒に店を続けていけるんだね。おいちゃん、ありがとう……」甥の隆志が目頭を押さえる隣で、影山はにっこりと微笑む。そこには確かにあったのだ。影山と隆志の目に見えない『絆』という隠し味が」
それからどれくらい時間が経ったのか、あたしは小説を朗読し続けていた。
携帯を置いてきたから正確な時間は分からないけれど、海から吹き上げる風がだんだん熱くなってきたから、8時は回っていると思う。
はじめのほうこそ途方に暮れもしたけれど、ふと“もしかして……”と思い当たることがあって、朗読し続けることに決めたのだ。
もしかして、間宮さんは誰かの声を聞きながらだと安心して眠れるんじゃないだろうか。
起きたら聞いてみようと思う。
「いつも寝るときは、テレビやラジオや、何か音や声を聞きながら寝ていますか?」って。
「じゃあ、次、読みますね。次は『ほおずきと椅子』っていうお話です。先に言っちゃいますと、ロマンチックでいい話なんですよ」
そう前置きをして読もうとすると。

