かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「間宮、さん……?」

「……」

「……おーい、間宮さーん」

「…………」


何度か呼びかけてみても返事がなく、どうやら間宮さんは眠ってしまったらしかった。

規則正しい呼吸とともに上下する間宮さんの髪があたしの頬に当たって、少しくすぐったい。

異性として意識していなくても、なんとなく甘酸っぱい気持ちになるシチュエーションではあるものの、それに浸かれるわけはない。


「どうしよう……」


問題はそこだった。

せっかく眠れたところなのに起こすのはあまりにも酷だし、でも、ちゃんと横になって寝たほうがいいに決まっている。

あたし自身も、もう少しこうしていてもいいかな……と思う気持ちも、あるにはある。

ただ、ますます早くなっていく心臓の鼓動と顔の熱がどうにも治まらなくて、目線のやり場にもほとほと困ってしまう。


果たして、いつまでこうしていればいいのか、それとも無理にでも起こしたらいいのか……。

あたしには判断がつかなかった。


手には閉じてしまった文庫本。

右肩には間宮さんの重み。

目の前には、昇ってきた太陽に照らされはじめた綺麗な町並みと青い海が広がっている。