そして、間宮さんは最後に「誰に迷惑をかけるわけでもないんだし」と言う。

それは……確かにそうだけれど。

やっぱり眠れなかったんだと思うと、あたしにできることはないかと無意識に探してしまう。

普通にしているけれど、それほど、間宮さんの不眠症は深刻なレベルだということだ。


「そんなことより」


何も言葉が見つけられずに黙り込んでいると、間宮さんが口を開いた。


「さっきのあれは何なんだ? 発声練習っぽかったけど、もしかしてお前、放送部員で夏休みも練習したりする努力家なわけ?」


う……。

痛いところを突かれてしまった。

さっき予想した通り、間宮さんはニンマリと笑ってあたしの言葉を待っている。


「……放送部に入っているのは本当ですけど、発声練習は趣味です」

「ふーん」


秘密にしたいと思ったところで、間宮さんにはもう聞かれているし白状するしかない。

この夏の間のどこかで、間宮さんはいずれ民宿を出ていくのだ、この際恥はかき捨てよう。

そう開き直って、興味があるのかないのか、また大きなあくびをしながら相づちを打つ間宮さんに続くことにした。