結局、間宮さんが嫌だ嫌だと言っていたピクニックは、今度はあたしが押し切る形で実現することになり、史料館の真ん前の遊歩道に設置されているベンチでバスケットを広げた。
植え込みや花壇などで綺麗に整備された道のあちこちには等間隔でベンチが並んでいて、史料館を出て南に十数メートル歩いたところで海を眺めながら食べることになったのだ。
「そういえば、さっき、間宮さんが郷土史を見ている間にハルに会いました。香ちゃんっていう、可愛らしい彼女さんも一緒でした」
間宮さんのあまのじゃくぶりには目をつぶることにして、あまり会話がないのもどうなんだろうと思ったあたしは、彼がいなかった間の出来事をとりあえず報告してみる。
間宮さんとあたしにとって、ハルに関する話題はいまだに地雷なのは分かっていた。
けれど、ちゃんと話さなければいけないことだし、いつまでも避けているわけにもいかない。
これがきっかけで、うまく話が転がれば……。
そう思った。
「ふーん。で?」
「で、とは?」
「いや、やっぱりお前は言わないつもりなのかと思って。まだハルに未練タラタラなことくらい、俺じゃなくても分かるぞ」

