「おいおい、いつまでいい雰囲気でいるつもりだよ、俺たちもいるんですけどー。そんなことより最後の花火、みんなでつけようぜー!なあなあ、まみりーん、菜月ー!」
2人で「ふふふん」と笑い合っていると、痺れを切らしたハルがあたしたちを呼んだ。
あたしを地面に下ろしてくれた間宮さんは、ちっと舌打ちをしたあと、一瞬だけハルを睨み、けれど、すぐに目尻を下げて言う。
「あーもー、じゃあ、まみりんでいいや。いちいち突っ込むの面倒くさいし、絶対に言うのやめないだろうし。行くぞ、菜月」
迷惑そうな口振りをしていても、どこか嬉しそうに髪の毛をワシワシと揉み、そう言って、あたしにすっと右手を差し出した。
あたしはその、優しくて愛しくて、大きくて……たくさんの悲しみに触れてきた間宮さんの手に、迷うことなく自分の左手を重ねる。
「せーの、点火ーっ!」
それからすぐ、4人で花火に火をつけ、その色とりどりの火花や、立ち上る煙の行方をそっと見届けていると、どこからともなく、さわさわとした柔らかい風が吹いてきた。
その風を色に例えるなら間宮さんと同じブルーだと、風を感じながら、あたしは思う。

