ーー俺、行くんだ。
青い空の向こう側。
その青い空の向こう側が、あたしと見る景色だと、間宮さんは茶化しながらも言ってくれ、星が降る中でのキスで、あの夏から止まっていたあたしたちの時間がようやく動きだしたのだ。
2年という月日を置いて……。
「長くなってしまいましたが、私、ナツこと小菅菜月の背中を押された一言は、彼の『今しかできないことは後先なんか考えないで今やる』です。いつか必ず、彼と一緒に青い空の向こう側を見に行ってこようと思います。そのときはぜひ、皆さんにご報告させてください」
そこまで話し終わると、塩田さんが『菜月ちゃん、そろそろ時間よ』と書かれたフリップボードをブースの外で振っているのが目に入った。
それに小さく頷くと、エンディングの音楽が流れはじめる中で番組の締めくくりに入る。
「引き続き、皆さんからのお便りやメール、お待ちしております。今日は長々とおつき合い頂いてありがとうございました。それではまた来週、この時間にお会いできるのを楽しみにしております。お相手は小菅菜月でした」
番組が終わるのと同時に、あたしはヘッドホンを外し、大きく息をはきながら上を向いた。

