そこで言葉を区切り、こう続ける。
口元だって、自然と緩む。
「高校を卒業して、すぐにこの町に来て、祖母の民宿を手伝いながら、こうして皆さんに“声”をお届けする夢を叶えさせて頂いています」
あたしの中で変わったこと。
受け身ばかりではなく、自分から何かを発信したり挑戦したり、積極的になれたこと。
仕方がない、と諦めるのではなく、自分が大事に思うものは大事にし、ずっと守っていこうと思えるようになったこと。
命の無駄使いをしないこと。
後悔しないように、今しかできないことは今やろう、それを一番のモットーにしていること。
それらは全て間宮さんから教えてもらったことで、全部全部、今のあたしにつながっている。
大げさなんかではなく、あたしを作り上げているものは、おそらく全てが間宮さんだ。
「そうして今の私を作り上げてくれた彼に、つい先日、この町で再会することができました。いつからだったのでしょうか、はっきりと教えてはくれませんでしたが、私の“声”が彼に届いていたんです。2年をかけて全国の海岸を旅した彼が、私に“ただいま”を言ってくれました」

