冗談ぽく「……なんだろうな、歳? そういう体力がもうなくなったのかもしんない」とも言っていて、あたしはそれを、そういうものなんだな、というように軽く受け止めてもいた。
けれど、その理由を知ったのは、あたしが間宮さんの机の上に伏せられていた写真立てを、掃除の途中、偶然にも畳に落としてしまい、それを運悪く彼に目撃されたことがきっかけだ。
その後、“3.11”のあの震災と、それにまつわる切なく悲しい話を語ってもらい、その2日後、間宮さんは町を出ていったのだった。
それが、潜れるようになっていたなんて……。
間宮さんの背中に触れたあたしの手に、自然と力がこもり、涙が込み上げてきて目頭が熱い。
それに気づいたのだろう。
間宮さんは、あたしの頭に優しく触れ、言う。
「必ず連れてってやる」
「はい」
「見つけたんだよ、俺。青い空の向こう側ーーってやつを。一生かかって探すんだと思ってたし、そうやって探しても見つからないとも思ってたけど、お前と見る景色が俺の青い空の向こう側なんだと思うんだよ。……なんてな」
「間宮さん……」
茶化すところは相変わらずだ。
けれど、その言葉を聞き、あたしの目からは、こらえきれずに涙が頬を伝う。

