「……でも」
けれど、今まで途切れずに話していた間宮さんは、そう言ったきり急に口を閉じてしまう。
どうしたのかと彼を見ると、いきなり体ごと引き寄せられ、気がつくとあたしはまた、がっしりとした間宮さんの腕の中にいた。
「間宮、さん……?」
「どんなに綺麗な景色を見ても、どんなに美味くて珍しいものを食べても、どんなに感動しても興奮しても……お前がいなかった」
「え……」
「お前といたかった」
「……、……」
あたしの左肩に顔を埋め、囁くように言う間宮さんに、胸がぎゅーっと締めつけられる。
背中や声が少しだけ震えているように感じるのは、もしかして泣いているからだろうか……。
あたしの手が、ためらいがちに、けれど、そっと間宮さんの背中に触れる。
「間宮さん、海、大丈夫になったんですね。潜れるようにもなったなんて、あたし感動です」
「え? ああ、そういえば」
「今度はあたしにも挑戦させてくださいね、シュノーケリング。間宮さんが見てきたものの全部を、あたしも感じてみたいです」
「……そうだな」
あの頃の間宮さんは、海を眺めることはできても、泳いだり潜ったりするのは避けていた。

