7匹の蛍は、きっと間宮さんたち“あの”仲間。
高校時代、日本全国の海岸を旅して回ろう、と約束を交わしたあの仲間……すなわち、震災で命を落としたり、その後に自ら命を絶ってしまったと昨夜聞いた、残り6人の仲間たちだ。
蛍たちは、それぞれが思い思いに飛んでいるように見えて、しかし決して祠の周りから離れるようなことはなく、ゆらゆらと旋回している。
それはまるで、間宮さんたち仲間7人が蛍と化して遊んでいるような、はたまた、俺たちはいつも一緒だ、と強く結ばれた絆を誇らしげに見せつけているような、そんな印象を受けた。
すると、ふいに間宮さんが口を開く。
「お前が風呂に入っている間、しわしわに昔話を聞かされたんだ。もともと迷信みたいなものは信じないタチだから、適当に聞き流してたけど、こういう迷信なら信じたいと思うよ」
「……そうですか」
「ん」
仲良く祠の周りを旋回し続ける蛍を静かに眺めながら、間宮さんは、おばあちゃんから聞かされたという昔話を語ってくれる。
それは、今は亡き人に対しての後悔や償いの念や、対極して、愛や恋心といった何らかの強い思いによって“導きの蛍”が現れることがある。
そういったものだった。

