「あいたっ……」
そうしていると、いつの間にか間宮さんが立ち止まっていたことにも気づかなかったようで、額に間宮さんの背中が当たったことで、ようやくあたしの足も止まることとなった。
けれど、当然、すぐに悪態をつくものと思っていた間宮さんからは、少しも反応がない。
「……なあ、いたぞ、蛍」
「え?」
「数え間違いじゃなければ7匹だ。なんだよ、そういうことか、ちくしょう、しわしわめ……」
その代わりに聞こえてきたのは、悔しさと嬉しさが同時にこみ上げてきているような涙声と、グスリ……と鼻をすする音だ。
何が“そういうこと”なのだろうと、間宮さんの背中から前を覗いてみると、そこは、直径10メートルほどの円形の小さな広場のようになっていて、中央には古めかしい祠があった。
山の奥にあって、そこだけ生い茂る木がないため、月明かりが真っすぐに広場に降り注いでいるように見え、不思議な感覚にとらわれる。
さらには、祠の周りに集うように、7つの点滅する光りがふわふわと飛んでいるものだから、これはもう、何かの導きだとしか思えなくなって、あたしの目からも、静かに涙が流れた。

