「……いや、ちょっと待て。星が点滅してる」
すると間宮さんは、じっと夜空を仰いだまま、何やら不思議なことを言い出した。
星が点滅……? 瞬いている、じゃなくて?
そう疑問に思う間にも、間宮さんは「なんか、ふわふわ飛んでるみたいだ、ほら、あれ」などと言ってきて、間宮さんが指差す先を辿って、あたしも一生懸命に夜空に目を凝らしてみるけれど、しかし、どうしてか見つけられない。
「……ったく。追いかけるから、ついて来い」
「はあ」
あたしには見えていなくても、間宮さんには、しっかりと点滅している光の所在がつかめているようで、切り株から立ち上がり、言うと、1人でずんずんと草むらの奥へ進んでいく。
間宮さんは、鬱蒼とした中を、まるで走るように進むもので、その背中を見失わないように追いかけるだけで精一杯のあたしは、当然、ひたすら前ばかりを見て歩くこととなる。
しかし、どれくらい歩けばいいんだろう……。
追跡する間宮さんを追跡する、というのは、精神的に辛いものがあり、そのうちあたしの思考回路は、おばあちゃんが言っていた『航君についていけばいいから』って、絶対にこのことじゃないよね……と、変なことを考えはじめる。

