かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
すっかり日が落ち、月と星の光だけを頼りに展望台の奥の草むらをかき分けること、数時間。

いまだに蛍の“ほ”の字も全く出てこない苛立ちが、とうとうピークになった間宮さんは、近くにあった大きな切り株にどかりと腰を下ろし、後ろ手に手をつき、夜空を仰いだ。


確かに……。

この町には田んぼが多くあり、水も綺麗なところなのだけれど、今、あたしたちがいる山の奥には、その肝心の2つがない。

綺麗な小川さえ流れていれば、また話も違ってくるはずなものの、どれだけ草むらをかき分けて奥へ入っていったとしても、目につくのは大木と鬱蒼と生い茂る草だけだった。


「おばあちゃんに騙されちゃったんですかね」

「だろ。なんもねーもん、はー、疲れた」

「……ごめんなさい」


こうなってしまっては、もうあたしには、おばあちゃんを庇えるだけの力はないに等しい。

展望台の奥の草むらはこんなふうになっていたんだ、と、蛍を探しはじめた当初は、若干、冒険気分で楽しんでもいたけれど、時間が経つにつれてそれもなくなり、今は、疲れと空腹と、間宮さんにどう謝ったらいいか、と。

そればかりが、間宮さんと同じく、夜空を仰ぐあたしの頭の中をぐるぐると駆け巡っている。