話を聞いて、あたしはますます、おばあちゃんの意図するところが分からなくなった。
展望台の奥のほうといえば、あたしもまだ足を踏み入れたことはなく、以前からおばあちゃん自身も「危ないから絶対に行かないように」と口を酸っぱくして言っていた場所だ。
それを、今日は行けと言うなんて……。
よく分からない。
とはいえ、それは小学生のときに言われていたことで、高校生となった今は、特別、危険があるというわけではないのかもしれない。
間宮さんもいてくれることだし、大丈夫、と。
きっと、そういうことなのだろう。
「腹減ってんだ。さくっと見つけて、さっさと戻ろう。付きあってらんねーよ」
「ですね」
間宮さんの声色が、明らかに苛立ったものに変わってきたため、これ以上、機嫌を損なわせないように素早く相づちを打ち、歩調を早める。
昨日の今日で、間宮さんにとっては、あまり何度も行きたくない場所なのかもしれない。
言われた通り、さくっと見つけて、さっさと戻ったほうが、波風も立たずに平穏だ。
けれど……。
「おい、そもそも、夏の終わりに蛍なんていんのかよ? しかも山の奥だし、小川も流れてないし、しわしわのホラだったんじゃねーの?」

