台所へ戻り、ご飯の準備を進めながら、おばあちゃんの様子を報告すれば、間宮さんからは相変わらずな毒舌が返ってきて、思わず黙る。
まあ、間宮さんの言うことは当たっているから反論のしようもないのだけれど、もう少しなんとかならないだろうか、とは普通に思う。
仮にも、毎日3食、食事の世話をしてくれた民宿の主なのに、しわしわの体って……。
「それより、ビールくれよ」
その声に振り向けば、間宮さんはすでにビールの缶を一本空けていて、もう顔を赤くしながら缶を小刻みに振り、早くと催促してくる。
間宮さんは、すぐに顔が赤くなるタイプなのだろうか、あたしは、お酒のことはまだよく分からない年齢のだけれど、なんだかとても気持ちがよさそうで、なんとなく羨ましい。
そう思っている間にも、間宮さんは「冷蔵庫には1本しか入ってないんだよ」と言いながら、確認するように、また冷蔵庫を開ける。
……どうやら、ほろ酔いらしい。
「ストックなら、確か野菜庫のほうに……ああ、ありました、ありました。どうぞ」
「お。こっちのほうが冷えてんじゃん」
野菜庫からビールを出すと、もぎ取るようにそれを奪い、プシュと缶を開け、間宮さんは立ったままグビグビとビールを流し込む。

