間宮さんを台所に残し、しばし、おばあちゃんの寝室へ様子を見に向かう。
寝ていたとしても、布団の中で起きていたとしても、やっぱり直接おばあちゃんの顔を見ないことには、どうにも気持ちが落ち着かず、部屋の前まで行くと、そっとふすまを開けた。
嫁入り道具のひとつに持ってきたという、愛用の低い机の上には、以前、あたしが誕生日に贈った卓上のベッドライトの明かりがほのかにともっていて、布団に入っているおばあちゃんのシルエットを、ぼんやりと映し出している。
聞こえてくるのは、すーすーという寝息だ。
「……あれ、ほんとに寝てる」
絶大な信頼度、というか、なんというか……少し拍子抜けしてしまって、クスクスと笑いながら静かにふすまを閉め、台所へ戻る。
おばあちゃんだって、今日1日の間宮さんやあたしの様子を見ていれば、何かあったのだ、と思わないわけではなかっただろうけれど、そこは年の功、いや、お母さんの親と言うべきだ。
寝て待つおばあちゃんは、さすがだった。
「本当に寝てました」
「もう、しわしわの体だからな。何もなくても1日生きるだけで疲れるんだろ」
「……、……」
うわ、相変わらず、ひどい言い方だ。

