かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「ご飯、食べましょう。今朝、家に帰る前に、お母さんがたくさん作っていった残りです。お弁当も一応持ってきましたけど、民宿に戻ってから、まとめて食べましょう」

「……は?」

「あたし、お腹ペコペコなんです」

「はは、なんだよ、それ」


自分でも、何をおかしなことを言っているんだろうとは思ったけれど、いったん喋りはじめると止まらず、少し笑った間宮さんにつられて、あたしも思わず口元から笑みがこぼれた。

ほんと、的外れな台詞もいいところだ。

でも、無理やりにでも何かお腹に入れないと、少し前までの後ろ向きなあたしに戻ってしまいそうで、それがとても怖く思える。


「行きますよ、間宮さん」

「……おう」


すっくと立ち上がり、言うと、間宮さんは少々面食らった顔であたしを見上げ、ワンテンポ遅れて、そう返事を返してくる。

あたしたちの帰りが遅いことを、たいそう心配しているだろう、おばあちゃんのことも気がかりだし、早く戻って、安心させてあげたい。


浜辺まで来るときとは反対に、間宮さんを後ろに従え、民宿への道をずんずん進む。

ときおり振り返り、間宮さんがついてきているかどうかを確認すると、間宮さんは「逃げねーって」と苦笑し「前を見ろ」と、まだぬかるんでいる足元をしきりに気にかけてくれる。