7人が揃うと、それを待っていたように秀斗は上着のポケットから油性ペンを取り出し、1枚1枚の写真の裏に言葉を書いていく。
その顔はとても楽しそうで、ペンを走らせる音も、すこぶる軽快だったのを思い出す。
“あの約束をみんなで果たそう”
それは、なんのことはない、夏になったら日本全国の海岸をみんなで旅行しよう、というもので、その時点では、具体的にいつにしようか、とか、まずどこから旅をスタートさせようかといった話にもまだなっていなかった、言うなれば、口約束の延長みたいなものだった。
しかし秀斗は、相当、その約束が待ち遠しかったのだろう、口元をほころばせながら言う。
「何年かかってもいいから、いつか必ず、みんなで日本一周しような。絶対だぞ」と。
そういえば、あんなに普通に笑っていた秀斗の顔を見たのは、そのときが最後だった。
「約束というのは、仲間7人で日本中の海岸を旅して回ろう、というものです。言い出したのは確か、家が花屋の敦士だったと記憶していますが、一番乗り気だったのは、これを書いた秀斗でした。写真ができたと呼び出されて、よく行っていたファミレスに集まったんですが、そのときの秀斗は、本当に楽しそうで」
「……そうだったの」
「ええ」

