そこまで言われてしまったら、頂けません、とは、とても言えるような雰囲気ではなかった。
しばらく思案しても「読みながら考えさせてください」としか返事ができず、現段階では、そう答えるのが俺の限界でもある。
そうすると、父親は「急ぎませんから、ゆっくり考えてください」と言いながら封筒から三つ折りの紙を抜きだし、俺はそれを、にわかに震えはじめた手で受け取り、しかし秀斗の気持ちを確かめなくては、と意を決して開いた。
3枚つづりのそれを、一言一句読み逃しまいとしながら、秀斗の文字に目を通していく。
読み進めていくと、やはり先ほど父親が言っていたように、内容はほとんどが俺に宛てられたもので、数ヶ月前、ここで仲間たちの行方を話したときの自分の態度を詫びる文面が多い。
相当、気に病んでいたのだろうか。
そんなことはどうだっていいのに……。
そう思いながら、さらに読み進めると、いよいよここからが本題だろう内容が目に映る。
街は津波で流されて死に、仲間たちもその犠牲となって死に、残された俺は、どうやって生きていけばいいのか、もう分からない。
悪い、先にみんなのところに行ってる。

