かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
どうして震災なんて起こったのだろう。

“3.11”と呼ばれはじめた、3月11日のあの震災さえなければ、俺たちの生活はここまで劇的に変わることはなかったし、あれほどまでにたくさんの犠牲者が出ることもなく、俺の仲間たちだって、みんな生きていたに違いない。

……俺だけが、この世に置き去りにされることなど、断じてなかったはずのだ。


そう思うと、胸が張り裂けそうに痛い。

この胸の痛みが、心臓の疾患から来るもので、例えば心臓発作だったとして、あわよくばこのまま死ねないだろうか、とさえ思う。

それほどまでに胸を痛めても、街が元通りになるわけでもなければ、秀斗や仲間たちが戻ってくるわけでもないのだから、完全に詐欺だ。


「ちくしょう……ちくしょう……ちくしょうっ!!」


沿岸部に住んでいただけで、これほどまでに失う物が大きいなんて、全然フェアじゃない。

同じ県内でも、内陸部はどうだ。

震災前と少しも生活は変わらないじゃないか、全て元通りじゃないか、平和じゃないか。


完全に当て付けなのは、分かってはいる。

けれど、この、どうにもならない悲しみや怒りや喪失感を何にぶつけたらいいのだろうか。