なぜ秀斗は死を選んだのか、という真相は、遺書を見せてもらってからにはなる。
しかし、それにしたって、秀斗にとって俺は相談相手にすらならなかったのか、と思うと、猛烈に腹立たしさがこみ上げ、怒りのままに枕をひっつかんで思いっきり壁に投げつけた。
仲間のはずなのに。
秀斗以外に、もう仲間は残っていないのに。
俺だけ置いてけぼりかよ、くそったれ……。
いや、そうじゃない、そうじゃない。
そういうふうに決めつけてはいけないのだ。
俺の気持ちはどうであれ、まずは遺書を読んで秀斗の気持ちを確かめるのが、今、一番に優先しなければならないことで、その方法しか、生前の秀斗の思いを知ることはできない。
そうやって俺は、烈火のごとく押し寄せる感情の波を、どうにかこうにかコントロールし、眠れぬ夜を泣き明かし、やっと朝を迎えた。
親父と母さんが寝室に使っている部屋は、元物置部屋の俺の部屋とふすまで仕切られているだけなため、いくら布団を頭からかぶり、隠れて泣いているつもりでも、嗚咽や鼻をすする音など、一晩中、筒抜けだったに違いない。
それでも、時間になれば起き、朝食の支度や仕事に行く準備をしている2人は、とても強い。

