かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
食事を終えた者から順に食器を流し台に下げ、居間に戻ってテレビを見たり、風呂に入りに行ったり、食事の後片付けをしたり……。

本来の間宮家や、母さんの実家である楠木家では、特別、食事のあとに居間で家族揃ってくつろぐ、という習慣はないのだけれど、それでも親父たちは、できるだけ“いつも通り”にしようとしてくれているのだと思う。

……俺が部屋にこもって泣けるように。


「ちょっと部屋で休むわ」


あまり食べる気にはなれず、最後になってしまったが、流し台に立ち、軽く後かたづけをはじめた母さんに食器を持って行きながら言うと、俺は2階の空き部屋に向かっていった。

そこは、かつてから物置部屋として使われていた6畳ほどの和室で、震災後、ここに移ってくる際に、俺が自分の部屋として使えるように祖父母が片付けておいてくれた部屋だ。

ふすまを開けて中に入ると、電気もつけないまま、部屋の隅にたたんである布団を真ん中まで持っていって敷き、その上に横になる。

思うのは、秀斗のことばかりだ。


「くそっ……」


どうしてこんなことになったのだろう。

まだ19歳になったばかりだというのに、あまりに突然で早すぎる死に、どうしたって涙しか出てこず、また、それ以外に悲しみや、やるせなさといった感情を吐き出す術を俺は知らない。