かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
何をやっているんだ、秀斗は……。

悲しみや怒りや、思いつめていたことに気づいてやれなかった後悔など、あらゆる感情が胸の中でぐるぐると渦巻き、ひどく息苦しい。

涙だって、ほんの少しでも気を抜けばすぐに洪水のように溢れてきそうで、しかし、家族の前で不用意には泣かれない、と変なプライドのようなものが働いた俺は、必死に踏ん張る。

そんな俺の横で、母さんは「そうだったの……」と言って、目の端に溜まった涙を拭いたり鼻をすすったりし、親父はそれに小さく頷いた。


「……夕飯の支度、してくるわね」

「ああ。じゃあ、父さんは着替えてくるよ」


それからすぐに、2人は席を外す。

俺に気を使ってのことだろう。


2人が居間を離れたとたん、たまらなくなり、そのまま畳の上に仰向けに寝転がる。

そうすると、一気に涙がこみ上げてきて、それを誤魔化すように、とっさに両腕で目を隠す。

普段は行儀が悪いと怒られることだが、祖父も祖母も何も言わず、ただ静かにそこにいてくれるのが、やけに涙を誘い、不用意には泣かれないと思っていたのに、どうにもならなかった。


それからの夕食の時間は、どんよりとした空気が食卓の席に鎮座し、会話らしい会話もなく、みな、黙々と箸と口を動かすだけだった。