こういう形での帰郷なんて、家族の誰も望んではいなかったし、嬉しいものでもない。
できることなら、きちんと夏休みに入ってから笑って帰ってきたかったし、迎える家族も、笑って迎えたかったに違いないのだ。
けれど「ご飯の前に話そう」と、ひどく真面目な顔で話を切り出した親父の言葉から、もう秀斗の死からは逃げられないのだ、と聞く覚悟を迫られた俺は、やや間を空けてから言った。
「頼む」
と。
深く頷いた親父は、まず、秀斗が亡くなった一報を受けたときの経緯から話しはじめる。
「秀斗君を発見したのは、仮設住宅の隣に住む斉藤さんというおばあさんだったそうだ。朝早く、日課にしている散歩に出たところ、山の斜面から落ちたと思われる秀斗君が、茂みでうつ伏せに倒れているところを見つけたらしい」
「それって、事故だったんだろ?」
病気だとも事故だとも、考えたくはないが……自殺だとも、そういう話は聞いていなかったものの、発見されたときの状況からも、自殺ではないかもしれない、と期待を抱いた俺は、テーブルから身を乗り出し、急き込んで聞いた。
しかし親父は、その質問には、あえて何も答えず、話の先を急ぐように口を開く。

