かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「定時で帰ってくるそうだよ。家に着くのは、おそらく7時前だろう。気が気じゃないだろうけど、それまで待っていてほしい、だそうだ」


すると祖父はそう答え、続けてこう言う。


「酷な話ですまんが、喪服の準備もせにゃならんし、ちょっと買い物をしていったほうがいいかもしれん。彰君のスーツじゃ、航には少し小さいだろうし、荷物の少なさから見ても、スーツは持ってきていないだろう。ネクタイやワイシャツは、彰君から借りるといい」

「……、……分かった」


そうして、祖父が運転する車は、家に向かう道からいったん外れ、国道沿いにあるフォーマルな服を扱う専門店へと向かっていく。

店へ向かう間、俺は思った。

そういえば何も準備をしてこなかった、と。


早く地元に帰らなければ、と気ばかりが焦っていたのもあるが、正直なところ、秀斗が亡くなったことが、いまだに半信半疑で、スーツのことなど少しも考える余裕がなかったのだ。

……いや、考えないようにしていた、と言ったほうが、この場合は正しいのかもしれない。

とにかく、ここでも祖父の第三者からの助言に助けられたらことは確かで、でなければ、あとで慌てて用意をしなければならない、ということになりかねず、素直に従うことにした。