秀斗の指先は、最後の1人……写真下段、俺と秀斗の間に写っている小野寺聡に移る。
聡は確か、福島に本社がある企業に就職が決まり、卒業式後、新入社員の研修を受けるため、一足先に地元を離れていったはずだ。
福島の地理にはあまり詳しくはないため、漠然としていて、すごく申し訳ないのだけれど、原発事故があった太平洋側の地域に行くのだと、そう言っていたと記憶している……。
聡は一体、どうなったというのだろうか。
「聡の就職先は福島だっただろ? 探しに行くには、ここからは距離があるし、移動する手段もなかったから、俺にも聡の安否は分からないのが正直なところなんだ。でも、航……聡が、自分は無事だと知らせるなら、航が一番最初だと俺は思ってる。あったか? 連絡」
「……、……いや、ない」
「やっぱりな。だから死んだんだよ、きっと」
「そんな……っ」
思わず身を乗り出していた。
俺にまだ聡から連絡が入らないからといって、死んでしまったと決めるのは、いくらなんでも早すぎるのではないか、そう思ったのだ。
確かに聡は俺と一番仲がいい。
秀斗と啓太がクラスも部活もずっと一緒の大親友だったのだとしたら、聡と俺は、親友とも少し違う、いわば腐れ縁のようなものだ。

