「すす、すみませんっ!あたしも今行きます!叩いたところ、冷やさせてくださいっ!」

「……バーカ」


今までずっと胸にあったもやもやした気持ちを間宮さんにぶつけたことで、今は不思議と穏やかな気分で、涙も自然と止まっていて。

本当は、自分の思っていることや考えをきちんと伝えたかったんだと実感できた。

残っていた花火を急いでかき集め、間宮さんの隣に並んで、左頬を見上げる。


「もしかして口の中、切っちゃったりしたんじゃないですか? てて、手当をっ……」

「ふん。お前みたいな力のない奴に叩かれたくらいで切れるなんて、どうかしてる」

「……あはっ、そうでしたか」

「何がおかしいんだよ」

「すみません、なんでもないです」

「ったく」


あたしはおそらく、物分かりがいい、というよりは、諦め癖がついているのだと思う。

それを今日、こういう形で、このタイミングで間宮さんに正してもらえてよかった。


「待ってください、歩くの早いですよ!」

「お前が遅いだけだろうが」


そんなことを言い合いながら、民宿への帰り道を間宮さんと2人、並んで歩いた。

あたし、何か変われるかもしれない……。