かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
又聞きという形で、こうして秀斗から話を聞いているだけでも、今にも耳をふさいでしまいたくなるというのに、秀斗は、それをたった1人で聞きに行ったというのだろうか。

俺が街を離れている間に。


「何をシケた顔してんだよ、まだまだ話は続くんだぞ。聞けよ、話してやっから」

「……あ、ああ」


すると秀斗は、あからさまに苛立った口調でそう言い、俺は弾けるように返事をした。

秀斗からは、俺に同情すんなよ、という圧力のようなものが感じられ、又聞きをしている身で秀斗の心情を察しようなどと大それたことを思ってはいけないのだ、と思わされる。


「次にこいつ、敦士は、母親と車で避難している途中で津波に呑まれたんだろうな、泥の中に埋もれていた車の中から見つかったらしい。自衛隊の人に掘り出されて、親父さんによって遺体の確認がされて……って感じだ」


そうしていると、ひとつ息をはいた秀斗は、また淡々とした口調で語りはじめた。

次に指で示したのは、英慈の隣、大畑敦士だ。

英慈と肩を組み、屈託なく笑っている。


「敦士の家、花屋だったもんな……。あの日も、家の仕事を手伝っていたんだろうか」