急にヘラヘラと笑いはじめた秀斗の様子に、違和感は強まる一方なのだが、聞いて知っておかなければならないことが俺にはある。
……仲間たちの最後だ。
津波で流されたと秀斗は言った。
それから先のことだ。
それを聞く責任が、俺には……ある。
「聞いてどうする」
「それを話すために俺を呼んだんだろ」
「聞いたら死にたくなるぞ」
「それでもいい」
強く言うと、秀斗からすっと表情が消えた。
その顔をどう表現したらいいのか……仮面か、のっぺらぼうか、とにかく、秀斗の顔からはあらゆる感情が読み取れなくなってしまい、申し訳ないが、薄気味悪さを感じてしまう。
けれど同時に、表情をなくすくらいに壮絶なものを見てしまったのだと嫌でも思わされ、聞かせてくれと懇願しておきながら、その決意が揺らいでしまうのも、正直なところだ。
そんな俺の心理状態を敏感に感じ取ったのだろう、秀斗は表情なく、もう一度、問う。
「聞いてどうする」
「……お前と痛みを共有したい」
すぐには答えられず、少し間を空けてしまったが、俺の言葉を聞くと、納得したのか、そうではないのか、秀斗はうっすらと笑みを浮かべて「そこまで言うなら、話そう」と言う。

