かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「……」

「……、……」


けして広くはないが、移ってきたばかりなのだろうか、服や食器類などの生活用品がほとんど見当たらない部屋の中が、俺には逆にだだっ広く感じてしまい、加えてその場の重苦しい空気感も相まって、思わず目を伏せる。

秀斗が苦労していることは、仮設住宅にいると聞いた時点で、それなりの想像はしていた。

けれど、想像と実際に目にするのとでは、やはり違っていて、想像はあくまで想像でしかないのだと、現実を突きつけられた気分だ。


「まだ全然揃ってないんだけど、支援物資から少しずつもらったんだよ、服とか靴とか。ほかの人の部屋も、だいたいこんなもんじゃないかと思う。その日を生きるだけで精一杯なんだ」


すると、目を伏せている俺から何かを感じ取ったらしい秀斗はそう言い、はっと顔を上げた俺と目が合うと、ほんの少し笑った。

その顔には、当然ながら以前のような明るさはこれっぽっちもなく、俺はしばし言葉を失い、それから小さく「……そうか」とだけ呟く。


「まあまあ、そんな顔すんなよ、航。お前が無事でいてくれて嬉しいんだ、マジでさ。……みんなは津波で流されちまったけど、俺たちはこうして生きてる。頑張んねーとダメだろ」

「っ……そうだな」