けれど、そう思う一方で、話を聞くまでは何も分からないのだから、むやみに変なことを考えるな、と、みにくく足掻く自分もいた。
震災当時から、ずっと連絡が取れないまま今になり、やっと1人と連絡が取れたことを考えると、どうしたって、最悪の方向に考えが偏りがちになってしまうところは、否めない。
それでも、望みは捨てられないのだ。
……どうしても。
「秀斗……」
アクセルを全開にし、一刻も早く秀斗のところへ向かうほか、今の俺にできることはない。
昨日の電話のあと、改めてメールで送ってもらった住所を頼りにし、秀斗が移り住んだ仮設住宅に着いたのは、それでも昼過ぎだった。
時間に余裕を持って出てきたつもりだったけれど、道路がまだ通行止めになっていたり、教えてもらった住所に近い別の仮設住宅に行ってしまったりと、思いがけず時間を食い、また、同じ建物が並ぶ中から秀斗がいる住宅を探し当てるのにも、だいぶ苦労してしまったためだ。
「航、悪いな。こんなところまで、わざわざ」
「いや、俺のほうこそ、遅れてごめん」
約束していた時間から1時間半ほど遅れてしまったものの、どうにか秀斗と無事に再会を果たし、仮設住宅の中に入れてもらう。
しかし、それきり、会話は続かない。

