2人からの返事は、すぐにはなかった。
何をどう言っても俺が納得しないことを分かってはいても、それでも思案顔で目を伏せ、一生懸命に何か言葉を探している様子に、俺の中の罪悪感が一気に膨れ上がっていく。
悪い、2人とも……こういう顔をさせたくて言ったわけじゃないんだ。
「……ごめん、そうじゃないんだよな。分かってるから、ちょっと時間がほしい」
「そうか。分かった。……すまない」
「いいよ」
親父と母さんは、それきり、黙り込む。
ひどく返事に困る質問をしてしまったこと、傷つけてしまったこと、なんとか俺の気持ちに寄り添おうとしてくれていること……本当に申し訳なく思うし、本心ではありがたいと思う。
でも、少し時間がほしい、というのも、俺の精一杯の譲歩で、今さっき聞かされたことに対して、すぐには返事ができないのも事実だった。
わがままを通せる状況ではないのだ。
分かっている。
分かっているから、せめて時間がほしい……。
その後、母さんの実家に移ろうという話は平行線の一途をたどり、仲間たちの安否もまた、誰一人として一向に分からないまま、焦りと苛立ちと葛藤の中で、時間だけが過ぎていった。

