さっき、ペットボトルの水を「飲めば」と言ってくれた口と同じものとは思えない冷めた口調に、あたしの体は否応なしに反応する。
それに加え、この暑さだというのに全身からみるみる血の気が引いていき、心なしか寒い。
「なん……でそんなこと、言うんですか? 間宮さんには、民宿の現状とか、ハルのこととか、関係ないじゃ……ないですか」
それでも、いきなりこんなことを言われて黙っていられず、両手をきつく握りしめながら、あたしなりの反論を精一杯試みてみる。
どんなにあたしが悪かったとしても、間宮さんにここまで言われることはないと思う。
けれど……。
「悪いけど俺、お前みたいな奴、大っ嫌いなんだわ。優等生ぶって物分かりがいいフリしてるけど、実は全部諦めてんの丸分かりなんだよ」
「……」
「無駄に使ってんのな、命」
「……」
さらに辛辣に言い放たれて、あたしはとうとう反論する気すらなくなってしまった。
さっきまでの、ちょっと楽しかった空気は一体どこに行ってしまったというのだろうか。
「じゃ、俺帰るわ」
その場にしゃがんだまま呆然とするあたしを残して、間宮さんはきびすを返して去っていく。

