かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「……夜が明ける」


誰かがぽつりと言ったその声が耳に入ったときには、俺はもう7回もメールの問い合わせをしていたし、今もまた、8回目の問い合わせをするため、携帯の電源を入れようとしている。

けれど、今回の問い合わせでも『新着メールはありません』と画面に表示されるだけで、大きく息をついては、また不安を募らせるのだ。


「嘘だろ……なんだよ、これ……」


しかし、日の出とともに徐々に辺りが白みはじめてきたとき、道路のほうまで街の様子を見に行った人の中から、そんな声が上がり、弾けるように立ち上がると、俺も道路に飛び出す。

すると、そこに見えた光景は、この世のものとはとうてい思えない、悲惨な光景だった。


「……、……っ」


津波で流され、壊れた家々のがれきが道路をふさぎ、なぎ倒された木もまた、道路をふさいだり、家の屋根の上に乗っていたり、その間にひっくり返った車が挟まっているかと思えば、高い建物は、3階か4階か、それから下の部分は鉄骨がむき出しになっていたり……。

普段は、よほど高いところからでなければ、街並みが邪魔をし、海は見渡せないのだけれど、ただ坂を上ったこの場所からでも、遠くに海が見渡せ、街はほとんどが津波で流されてしまったのだということが、嫌でもよく分かった。