誤解のないように言っておくと、ハルはもちろん、考え直そう、と香ちゃんを説得した。
自分が頑張るから、と。
それでも香ちゃんは、もうすでに、いっぱいいっぱいの状態で、以前からお母さんのことで相談を受けていたハルは、香ちゃんを楽にしてあげようと心を決めたらしかった。
そのあとは、今日の通りだ。
なんとか香ちゃんを解放してあげたい、との一心で駆け落ちを決行したものの、泊まる場所さえ満足に見つけられない身分だということを痛感し、公園で途方に暮れていたところへ間宮さんとあたしが現れ、今に至っている。
「正直に思ったことを言えばいい。別に、駆け落ちが正しかったと思ったのなら、そう言えばいいし、間違っていたと思うのなら、それはそれで構わない。お前の気持ちはどうなんだ」
間宮さんはそう、静かな調子で問いかける。
いつも人の意見に合わせてしまうところがあるあたしを試している……? とも思ったのだけれど、考えすぎか、と思い直し、口を開く。
「あたしは、羨ましいと思いました。駆け落ちだなんて、最近は聞かないじゃないですか。思ったことはあっても、実際に駆け落ちをする人は、そうそういないと思うんです。だから、素直に羨ましいです。それくらい、あの2人は好き合っている、ってことですもん」

