その辺りのことは、あたしよりよっぽど、おばあちゃんのほうが分かっている。
昨日の夜、民宿の仕事を終えたあと、お茶を飲みながら話したのだけれど、寂しそうに少し笑ってこう呟いていた。
「言っても仕方のないことだけど、今の時代に合わないことを続けていてもダメなのかねぇ」
あたしはなんとも言えず、ただ話を聞くことしかできなかったけれど、昔からの常連さんも、もうほとんどがご高齢だし、おばあちゃんだっていつまで続けられるか分からない。
寂しいけれど、これが現実だ。
「……おしっ!うだうだ言ってないでやるか!」
「うん!」
ハルが明るく言ってくれて、沈みかけていた気持ちがふっと浮き上がる。
おばあちゃんが民宿を続けるという限りは、あたしも手伝ったり応援したり、おばあちゃんの意思を尊重して少しでも助けになるだけ。
うん、そうだ。
それが一番いいことのように思う。
そうして、ハルと手分けをして廊下や壁、窓や空いている客室の掃除をしていると……。
「朝っぱらからガーガーうるせぇんだよ」
「……っ!」
「……」
不機嫌全開の顔の間宮さんがドアを開けた。

