検索が終わったらしく、携帯を返す間宮さんによって、あたしの思考はそこで途絶える。
携帯の画面は待ち受けに戻されていて、間宮さんの気遣いをとてもよく感じられた。
けれど、もうすぐ夜になってしまう、という状況に、嫌でもそんな思考に頭を持っていかれ、胃やお腹のあたりをキリキリと締めつける。
「そういえばお前、朝飯を食ったきり、何も腹に入れていないんじゃなかったか? 駅に着いたら、とりあえず何か腹に入れろ。腹が減ってっから、変なほうに頭が働くんだよ」
「……食べたい気分じゃ、ないです」
相当、思い詰めた顔でもしていたのだろうか。
間宮さんは、あたしの心境を見越して、そう言ってくれたのだけれど、あたしは不思議と空腹感を感じてはおらず、むしろ食べられるような気分ではなかったため、断ってしまう。
すると、隣からぼそりと「勝手にしろ」と聞こえてきて、間宮さんだって10時過ぎにご飯を食べたきりじゃないですか、とは、なかなか言えない重い空気があたしたちの間に鎮座した。
それでも、程なくしてバスは駅前のロータリーにゆっくりと停車し、降りると、まずは人でごった返す駅周辺から2人の捜索がはじまる。

