かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
翌日。


「おっす!菜月、久しぶり」

「ハル!わぁ、久しぶりだねぇ。そうだ、返事の手紙出したんだけど、届いてた?」


朝、談話スペースの掃除機がけをしていると、ハルが陽気な声色とともにやってきた。

まだ夏休みが始まったばかりだというのに、す
っかり黒く日焼けをしているハルは、白い歯を見せてニコニコと笑う。


最後に会ったのは、去年の夏が終わる頃、家へ帰るあたしを駅まで見送りに来てくれたときだったから、約1年ぶりの再会だ。

Tシャツの袖から伸びるたくましい腕に、前にも増して体つきもそうなっているのだろうと思わせるハルは、あたしのそばまで来ると、手からひょいと掃除機を奪って肩にかつぐ。


「1週間くらい前に届いたよ。にしてもさ、いきなり“彼女できた"なんて書いたからびっくりしただろ? 俺もびっくり。あ、次は2階に掃除機かけるのでいいんだよな?」

「うん。……ほんとびっくりだった。でも、よかったって思ったよ。ハルもそんなお年頃なんだなぁって、なんか安心した」

「ははっ。なんだよ、それ」

「なんだろうね」


会話が弾んでも、掃除機をかついで階段を先に上っていくハルの背中がひどく遠い。