間宮さんが言った通り、おそらく2人は、ごく普通にデートに行くような格好で、駆け落ちを決行したのだろうと思う。
いくら、2人と同じ年頃の子たちが大勢で駅を利用したからといっても、大きな荷物を持っていた、などの特徴があれば、駅員さんの記憶に残っていても不思議ではないように感じる。
2人は紛れたのだ。
この駅を利用した子たちの中に。
本当に、何があったというのだろう……。
「おい、それより、お前はどうなんだ。どこか行きそうな場所の見当はついたか。早くしないと、どんどん離されていっちまうぞ」
「そうなんですけど……。ハルたちほど町の周りに詳しいわけじゃないので、今はまだ、なんとも言えません。せめて、上りか下りのどっちかに絞れたらいいんですけど、どちらも海沿いを走るローカル線だし、全く見当が……」
「しっかりしろよ、幼なじみだろうが」
「すみません……」
まだ気が動転していて、うまく頭が働いてくれず、なんとも頼りない返事しかできない。
そんなあたしに、間宮さんは厳しい口調で「幼なじみだろうが」と苛立ちをあらわにするのだけれど、しかし本当に、見当らしい見当はつかず、時刻表の前で右往左往するだけだ。

