あたしだけに2人が連絡を入れてきた、ということは、少なくともあたしには知らせよう、という気持ちの現れではないかと思う。
また、逆の見方をすれば、間宮さんにも教えて構わない、という意味にも捉えられる。
いろいろとあって、徐々にお互いを認め合いはじめた間宮さんとハルなのだ、おそらく、ハルの気持ちとしては、間宮さんとあたしは1セットに考えられていて、そんなあたしたちに、駆け落ちを止めてほしい、と思っている部分も、心のどこかにあるのではないかと思う。
「出るぞ。すぐに支度をしろ」
「……え」
「心配なんだろうが。モタモタすんな」
「は、はい……っ!」
強い口調で言われ、弾けるように返事をする。
間宮さんには、またあたしの事情につき合わさせてしまって申し訳ない、とつくづく思う。
けれど、あたしを押しのけるようにして『潮風の間』に入っていく様子を見ていると、気まぐれであたしにつき合っていた、という言葉が、本心からではなかったように感じてしまうのもまた、正直なあたしの気持ちだった。
とにもかくにも、今は2人が心配すぎる。
あたしも早く出かける支度をしばければ……!

