かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
そして、まるでおまけのようにそう付け加え、一足先に牽制球を投げられてしまった。

あたしの微妙な気持ちの変化に、間宮さんは気づいているというのだろうか……。

トラウマになったという“暗闇”を引き合いに出し、自分をろくな男ではないと言い、あたしがこれ以上、間宮さんに踏み込まないように、予防線、というか、境界線を張る。

その行為そのものが、拒絶だ。


「……まあ、お前みたいなアホ女子高生なんて、何もなくても願い下げだけど、ひとつ、忘れるな。今まで俺がお前と関わってきたのは、ただの気まぐれだ。俺たちは、民宿の人間と客、そのことを、もう一度よく考えておけ」


最後にそう言葉を並べた間宮さんは、ジーンズのポケットに両手を突っ込み、ひとり、ふらふらと浜辺を歩きはじめた。

その姿の、なんと悲しげなことか。

なにも、そこまでして拒絶することはないのではないか、とも思うのだけれど、反対に、間宮さんの徹底した拒絶に次ぐ拒絶には、あたしなどの容量ではけして推し量れない“確実な何か”があり、お前は知らないほうがいい、と。

そう、遠回しに言われたような気分だった。


間宮さんは一体、その悲しげな背中に何を背負っているというのだろう。

けれど、聞くに聞けない質問を静かに飲み込むほか、今のあたしにできることはなかった。