かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
あたしが台所に行っている間、間宮さんは壁に飾ってある魚拓や風景写真を見ながら待ってくれていたようで、お待たせしました、と声をかけると、若干名残り惜しそうに振り返った。

潮風の間までご案内する間、民宿についての説明も、ざっとだけれど、しておく。


「お風呂とトイレはすみませんが共同でお願いできますか? 洗顔や歯磨きは、お部屋でできるように小さな洗面台がついています」

「ふぅん。ま、初めから期待はしてねぇよ」

「すみません。かなり古くからやっているもので、なかなか設備も整っていなくて……。お客さま方にはご迷惑をおかけしています」

「別にいいけど」

「……」


確かに汐凪は古い民宿だ。

改築工事にもそれなりのコストがかかるため、水回りの不便さも否定はできない。

そのぶん宿泊費の安さでカバーしているつもりだけれど、でも「期待してない」って……。

悔しい。


このとき、間宮さんの対応をしたのがあたしでよかったと本気で思った。

おじいちゃんが亡くなって18年、あたしが生まれるより前から、おばあちゃんはたった1人で汐凪を守ってきたんだもの。

……聞いたら、きっと悲しんでしまう。