「じゃあ、まあ、やってみるか。俺も別に理系が得意っていうわけじゃないけど、お前よりはできるだろ。課題のプリント、見せてみ」
「はいっ！」
最初こそ、お手上げだ、と頭を振っていた間宮さんだったけれど、諦めたのか、仕方がない、と腹をくくったのか、手のひらをひらひらとさせ、プリントをよこせ、とあたしを促す。
あたしはそれに、大いに申し訳ない気持ちでいつつも、とたんに嬉しくなり、声を張って返事をすると、数学のプリントを渡した。
すると「うるせー」と渋い顔をされてしまうのだけれど、それでも間宮さんは、一通りプリントを眺めると、シャーペンを持つ。
「数学は、まずは基本がしっかり分からないと応用もへったくれもないからな。理解できるまで教えてやっから、途中で分からなくなったらその都度聞け。いいか、分かったか」
「分かりました……！」
「スパルタでいくからな」
「お、お手柔らかにお願いします……」
そうしてはじまった間宮さんとの勉強会は、やはり宣言した通りのスパルタで、何度もため息をつかれ、それに終始するというものだった。
けれど、初歩の初歩で早々につまずき、解説をお願いするあたしに根気強く教えてくれる間宮さんは、なんだかんだといっても、優しい。
