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「すみません、間宮さん。分からないところが分からないので、始めから教えてもらってもいいですか? ほんっと、すみません……っ」
「は!? お前、それ本気!?」
「本気、です!」
「……、……言葉にできない落胆感だな」
それでも、図書館に着き、教科書や課題のプリントを広げれば、いつか間宮さんに一泡噴かせてみたい、という反抗心も、とたんにしぼむ。
なぜなら、あたしはとても勉強ができない。
……理系限定で。
「それは分かっていますけど、お盆が過ぎて、夏休みも残り少ないんです。あたしを、そこそこデキる女子高生にしてください」
「はあ。お前な……。なかなか無理な注文だぞ。つーか、そこそこって。相変わらず、ウケる」
「うー」
それなら、なんとなくデキる、くらいにしておいたほうがよかったのだろうか。
……いやいや、ここは、間宮さんになんと言われようと、成績維持のため、家庭教師や塾に通わせられないために、なんとか基本問題くらいは分かるようになりたいのが切実な願いだ。
あたしだけでは、らちがあかないのだ。
勉強を教えてもいい、という、せっかくの間宮さんのご厚意に、ぜひ甘えさせて頂きたい。

