かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
あたしは普通の人より話すスピードがゆっくり目なところがあって、その上、必要以上に言葉を選んでしゃべる癖がある。

間宮さんとの会話においては特に、誤解されないように、という思いを念頭に置いている。

そのため、癖が顕著に出る普段のあたしとは違ってじょう舌に話したことが、間宮さんにとっては“すげーな"と驚くことのようだった。


「えへ。初めて大きな赤い満月を見たときの感動がすごくって、思い出すと今でも鳥肌が立つくらいなんですけど、それでですかね。調べて納得したら、自然と覚えちゃったんです」

「ふーん」


照れ隠しで笑ってみせると、間宮さんからは、さほど興味が湧いたようでもなさそうな、なんとも曖昧な返事が返ってくる。

もしかして、こんなに熱く語ったりして、気持ち悪いとか思われたんじゃ……。

いや、そこまでは思われなかったかもしれないけれど、軽く引くくらいはありえそうだ。

間宮さんのあたしを見る目や顔の表情は、そんな雰囲気を醸し出している。


「ごめんなさい、だいぶ語りすぎました……」

「いや、なんつーか、お前がそこまで言うなら見てやらないこともないな、とか思った。赤い満月なんてけっこう不気味そうだけど」