かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
その言葉を聞いて、あたしはさっきとは違う意味で、ぶわっと鳥肌が立ってきた。

せっかく治まってきた全身を覆うようなひんやりとした感覚も、一瞬でぶり返す。


「本当ですか!?」

「まあ、少しだけどな。寝るときに何か音を聞きながらのほうが寝やすいらしい。あと、月とか星の明かり、つーの? そういう柔らかい光があると、なんとなく安心して寝られる」


やっぱりそうだったんだ。

漫談や落語のCDを貸してから間宮さんは寝起きがよくなったように感じていたけれど、こうして間宮さんの口から直接聞くと、その嬉しさはひときわ大きく感じられる。

あたしにも何か役に立てたんだ、と。


「夏は星が綺麗ですもんね。あたしもたまに目が冴えちゃうときがあるんですけど、海に反射する月明かりを見ていると心が和みます」

「海、ね」

「はいっ。間宮さんは見たことありますかね、満月は正直すごいですよ!なんかもう、幻想的っていうか、ロマンチックっていうか、とにかく“うわぁ……"ってなります!」


間宮さんの役に立てたことが嬉しいのと、月や星の光りに関係したことが話題にのぼって、あたしはつい、満月について力説してしまう。