かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「いや、今年で21だ。大学に行ってたけど、それよりもやりたいことがあって、夏休みに入る前に退学した。で、今はお前と話してる」

「そう……でしたか」


聞いておきながら、“退学"の響きに、違う話題にしておけばよかったと即座に後悔する。

今年で21歳になる、ということには、彼が民宿に泊まりに来た初日に“歳はあたしより上なようで、だいたい20歳前後"と感じた通りで、これといって特に抵抗もなく頷けた。

けれど、大学を退学したことについては、意外すぎて頭がうまく働いてくれない。


それこそ、あたしの勝手なイメージでは、間宮さんは理系が得意そうで、将来はそういった分野で、大学の研究室や大手企業の研究員として働きそうなイメージだった。

白衣と試験管がよく似合う、少し風変わりな研究員……うん、ぴったり当てはまる。

それが、大学に通うよりもやりたいことがあって、そのために退学までするなんて……。

あたし自身が高校を辞めたいと思ったことがないからかもしれないけれど、潔さというか、無鉄砲さに、いまいちピンとこないのだ。


「この土地に来たのは、マジでただの偶然。日本地図を広げて、目をつぶって、適当に指を指しただけ。……うわ、偶然って怖ぇ」