お母さんたちの相変わらずの会話を聞きながら改めてお礼を言うと、間宮さんは少し皮肉を交えながらも、そう聞いてくる。
あたしは「うーん」と考えて。
「なんかもう、聞かなくてもいいかな、って思ってます。あ、今のは、どうでもいいとか諦めるとか、そういう後ろ向きな考えじゃなくて、話したくなったときに話してくれたらな、っていう意味なんですけど……」
「別に補足しなくたって分かるぞ? 俺はお前の中でどんだけアホなイメージなんだよ」
「いえ、そういう意味でもないんです」
「……は?」
怪訝そうな表情をして眉を寄せている間宮さんが、ちらりと横目に入る。
それはそうだ。
話の中身がぐにゃぐにゃしていて、一向にまとまりがないのだから、間宮さんの表情は、至極当たり前の反応だと思う。
でも、なんて言葉にしたらいいのだろうか。
ずっと心に引っかかっていたのだけれど、間宮さんはなぜ、あのとき“命の無駄使い"という言葉を選んだのか、あたしにはいまだに真意を計りかねていて、後ろ向きに捉えられそうなことを言うのに抵抗を感じるようになっていた。
それでつい、誤解を避けようと、回りくどく補足をつけて言ってしまったのだ。

