でも、けんか腰の会話を聞いていると、胸のまん中がほっこり温かくなる。
仲直りって、直接の「ごめんなさい」はなくても、お互いが理解したいと思ったり歩み寄りたい気持ちがあれば、この2人のように自然に仲直りになるものなのかもしれない。
間宮さんとあたしだって、おそらくそうだ。
間宮さんが民宿に宿泊しはじめてすぐの頃、展望台で昼間に花火をする手伝ったとき、自分の全部を見透かされて腹を立てたあたしは、思わず彼の左頬を叩いてしまった。
けれど間宮さんは「今の命の使い方は、まあまあ無駄じゃなかったんじゃん?」と、怒られるどころか逆に感心したように言って。
それであたしは、なんだか間宮さんに懐いてしまったところがあるし、間宮さんも、偉そうなところは相変わらずなものの、ずいぶんと自分のことを話してくれるようになった。
小さい頃は、悪いことをしたり、友だちとケンカをしたときなんかは、ちゃんと「ごめんなさい」を言うものだと教えられてきたけれど。
間宮さんとあたしや、お母さんとおばあちゃんの仲直りの仕方は、ちょっと例外かもしれないけれど、たぶんこれで合っていると思う。
「学校の課題、まだ途中だったから、2階でしてくるね。ご飯できたら呼んで!」

