嫌がるように体をくねらせるが石榴は一向に離してくれない。

「大丈夫。俺は大丈夫だから。
君は汚くない。臭くもないよ。
キレイだ。いい匂いだよ」

「……だ……メ……離……し、て……先輩……呪、れる……」

後ろから抱きしめられていたのを正面に向かせた。月は石榴の胸に顔を埋める形になり優しく頭を撫でると今まで我慢していたのか声を出して泣き出した。

何分経ったかかわらない。

「もう大丈夫か?」

「うん……」

恥ずかしくて顔が上げられない。
その顔を見ずに石榴は月から離れ教卓に置いてあった書類を持ち、窓際の席に座り何事もなかったかのように書類に目を通し始めた。

「君を泣かすつもりはなかったんだ。
ごめんな。
なんか俺、君に謝ってばっかりだな」

「……そうね」

涙をふく。

「君にお願いがあるんだ。いいかな?」

「お願い?先輩が私に?
それって私じゃなくてもいいんじゃないかな?
私がいいの?」

「ああ」